3.11のあの戦後最悪で最も悲惨な大震災がもたらした原発事故。
かってぼくらの世界でも決して係わることもできそうもないアンタッチャブル企業でもある東京電力とそれを支える電力村の責任の所在も明確にならないまま、原発事故前に戻ろうとしている。
企業の電気料金10%、一般消費者17%値上げが、東京電力が言う値上げの「義務と権利」によって値上げが既成事実として進められようとして大きな波紋を呼んでいる。
本来ならば、あれだけの事故を起こした民間企業は、とっくの昔に破産会社にして株主責任、金融機関の責任もとって破産整理されていなければならないのに、何も問われないまま値上げが議論されているのは誠におかしな国だ。
もし、破産企業として国(第3者機関)が整理していればとっくに発送電分離の議論も進んで将来日本の技術が生かされたもっと違った将来の日本の姿が見えていたのかもしれない。
そんな中、スマートシティだとかスマートグリッドが今後の成長産業として期待されているが、日本の電力会社中心で今のシステムを温存しながら(既得権益、総括原価方式という地域独占権益)進めていく流れはには失望を隠し得ないでいる。
電力をためられない電気事業者は原子力発電所がなければ、夏や冬のピーク時に対応できないとか、大規模停電がおきるとか、この燃料高騰の時期に火力発電所の燃料費がかさむとかの理由で、電力会社の責任や見直しをしなまま消費者にその責任の転嫁をしようとしているのは、中部電力管内の自分でも腹が立つ。
電力はためられる
例えば、フライホイール(はずみ車)
フライホイールは磁石やコイルを組み合わせてあり、発電機兼モーターとして働きます。フライホイールに電気を流すとフライホイールが回転し、この回転を利用して発電します。こうすることにより、電気エネルギーを回転エネルギーに換えて保存しておくことができます。回転する部分は密閉された真空中にあるため、空気抵抗で回転エネルギーを失うことはありません。また、1つではなく、2対のフライホイールがそれぞれ逆方向に回転することで、全体を安定させています。
性能については、化学薬品を使用した普通のバッテリーは数百回の充電で使えなくなります。一方、フライホイールは金属疲労で本体が壊れるまで充電でき、その充電可能回数は10万回で、25年使えます。また、溜め込めるエネルギーは同じ重さの普通のバッテリーの3倍以上(将来15倍になる可能性も)となります。
このフライホイール・バッテリーを電気自動車の動力源として使う場合は小型のフライホイール20個程度をコードで接続して搭載します。フライホイール式の電気自動車はガソリンエンジンの自動車より軽量で、二酸化炭素の排出はゼロです。しかも、7秒間で時速100kmまで加速し、1回の充電で500km走行できます。理論上は…
例えば、揚水式発電
電力が余っている夜間などに電気で水をくみ上げておき、電力需要が増大する昼間に落とし、水力発電を行います。電気エネルギーを水の位置エネルギーに換えて保存しておくのです。ただし、取り出せるのはくみ上げ時に消費した電力の7割から8割です。それでも、揚水式発電より安く建設でき、長期間稼動でき、同量の電気エネルギーを保存できる方式がないので、今でも電力の安定供給を考える上で、重要視されています。
そして
スーパーグリッドという送電設備
電気を別のエネルギーに換えて保存する貯蔵設備で、回転エネルギーに換えるフライホイール、水の位置エネルギーに換える揚水式発電に対して、スーパーグリッドは液体水素に換えて保存します。検討されているスーパーグリッドの構造は 内部が直径40cm、側面の幅が3~8cm、のパイプを絶縁体や断熱素材で保護した直径75cmのパイプです。内部のパイプの側面に電気、中の空洞部に液体水素を流します。 特殊な合金などはある一定以下の温度に冷却すると電気抵抗がほぼゼロになる超伝導と呼ばれる状態になります。スーパーグリッドも-196℃の液体水素に冷やされ、超伝導状態になっています。よって、送電ロスが少なくなり、今と同じ発電量でも、より多くの電気を使用できるようになります。逆にいえば、今より少ない発電量で、同量の電力を消費できます。つまり、それだけ、節電したも同然ということです。もちろん、電気と同時に流されている液体水素も二酸化炭素を出さない燃料として利用できます。
スーパーグリッドの仕組みは1967年にIBMのガーウィンとマティソーが考案しました。その構想は-269℃の液体ヘリウムで冷却したニオブ・スズ金属化合物製の全長1000kmのケーブルを2本1組で建設し、100GWの電気を流すというものでした。当時は、”そう簡単に-269℃に冷却できるか!!”ということで、想像上の産物に過ぎませんでした。
しかし、1986年にもっと高い温度でも超伝導状態になる物質が発見され、液体ヘリウムより扱いやすい液体窒素(-196℃)が使えるようになりました。実際にアメリカでは液体窒素を使用した実験も行われました。また、スーパーグリッドは実用化するのに新理論が必要なく、研究者の頭の中では完成した技術なのです。
スーパーグリッドの未来
送電ロスが少ない→現行方式では平均10%の送電ロスが発生します。これに対して、スーパーグリッドの送電ロスは現行方式の200分の1です。また、送電ロスは電圧が高いほど少なくなります。現在の送電網では100万ボルトが限界ですが、スーパーグリッドはこの限界を超える電圧にも耐えます。送電ロスが少ないと、発電に使う燃料が節約できる上、山間部の水力発電所や風力発電所で発電された電力を都市部で使いやすくなり、 現在よりエネルギーの安定供給が可能に→風力発電は環境に優しいですが、小規模なファームでは発電量が不安定になります。需要が少ないときに良い風が吹き、大量に発電したり、需要が多いときに風が吹かず、発電ができなかったりします。しかし、需要が少ないときに発電した電力で水を電気分解し、水素を作ります。これを液化して、スーパーグリッドに保存しておきます。将来的にはこの水素を燃料電池自動車やそのまま燃料にすることで、余剰電力を有効利用できます。また、需要の大きさに関係なく、原子力発電所をフル稼働させ、余った電力で液体水素を作り保存。保存できた水素のエネルギー分だけ火力発電所の発電量を抑えます。そうすれば、エネルギーを安定供給しつつ、二酸化炭素の削減もできます。
そんな技術が確立して日本全国が1つのスーパーグリッドで横断できれば東西の周波数問題50Hz、60Hzなどの問題も関係なく電力の融通と蓄電すら可能となり得る。
Googleの考えるスマート構想やソフトバンクの孫さんが将来を見据えたビジネスというのはこういったエネルギー事業なのだろう。
しかしながら、戦後最悪の人災事故の責任の所在も明らかにされないまま、いままでどおり総括原価方式で発送電も同じ地域独占企業が既得権益を抱えたままの日本では、100年経ってもこの国のエネルギー問題は変わらないと思う。
いまの経済産業省の中にもあの「官僚達の夏」にでてくるような人たちがきっとどこかにいることを密かに期待している。